「ごはんだよ」の声に、家族が集う。
味噌汁の湯気に、ほっと心ほどけ、
味わうほどに季節を感じる。
味噌汁は家族の基本。
うれしい日も、心さえない日も
何気ないこの1杯が、家族をまとめ、
日本の食卓を豊かにしています。
取材・文/阿部 薫
味噌汁の大切さを家庭に、
そして未来を担う子どもたちに伝えたい
どんな時も家族を笑顔にする、味噌汁の力。お味噌と食材の出汁がたっぷり染み込んだ1杯から、家族の声、そしてそれぞれの体の声を聴き、自然と会話が生まれます。慌ただしくしながらも、日々味噌汁をつくることで、気持ちがま~るくなれるような感覚も不思議です。
「私は味噌汁の大切さを家庭に、そしてこれからの未来を担う子どもたちに伝えたい」と、深瀬善兵衛商店を営む深瀬尚子さんは言います。日本は津々浦々、米味噌や豆味噌、麦味噌や白味噌など地域の気候や風土によって様々な種類の味噌が育まれ息づいており、特に味噌汁は家庭の個性が出やすい食べ物と言えるでしょう。故郷から離れた際には、話の種にしてみるのも面白いですね。
季節や体調の変化に合わせたお味噌汁
お椀の中にはお豆腐やワカメなどの定番の具材から、家族が育てた野菜や、山菜、貝や魚など旬の具材が。お味噌汁に使うお味噌も、冬はこってり甘めのモノを、夏は豆が多いきりりとしたモノなど、季節によって使い分けるのもおススメです。
気温が高い夏は、味噌汁も傷みやすくなるので、夜ご飯につくってゆっくりいただいたり、その残り物を冷蔵庫で冷やし、朝いただくというのもいいですね。具には夏野菜のナスや、大きく育ったキュウリの皮をむいてウリのように入れてみたり。疲れたな、という時には、半熟卵を入れてスタミナアップ。夏バテ防止に、しっかりといただきましょう。
味噌汁にはルールがありません。どんな具を入れても構いませんし、おかずの一品をも兼ねることもでき、栄養満点!気軽に大人の体も健康的に育ててくれる、優等生なのです。




昔ながらの味噌を食べて未来に繋ぐ
今や味噌や味噌汁の素は、スーパーマーケットやコンビニでも多数販売され、いつでも気軽に購入できるようになりました。その中で深瀬さんは「昔ながらの味噌」を改めて見直してもらえたらと伝えています。
昔ながらの造り方で醸造した味噌には、塩味、甘味、苦み、酸味、旨味があり、味噌汁にすれば具となる食材の旨味を受け止め、優しい味わいに。これまで日本の食卓を豊かにしてきた味噌ですが、その材料となる大豆やお米を栽培する農家さんが減少。味噌への関心が少なくなり、味噌を手掛ける醸造家も、味噌汁をつくる家庭も減少しているという現状です。味噌汁の魅力、そして造り続けられてきた味噌を守っていく重要性をもっと、たくさんの方に知ってほしいと思います。深瀬善兵衛商店では、予約をすれば誰でも山形県産のお米と大豆を使った味噌づくり体験ができます。楽しくおしゃべりしながら、味噌への興味を深めてみませんか?


